プロセス・サンプリング・システムによく見られる課題
プロセス・サンプリング・システムによく見られる課題
Phil Harris/Tony Waters、サンプリング・システム専門家/講師
分析担当のエンジニアが口を揃えて言うのは、プロセス・サンプリング・システムを正常に稼働させるのは非常に骨が折れるということです。 サンプリング・システムの部品が1つ故障しただけで、設備全体の停止に追い込まれて金銭的な損失を被るばかりか、安全を脅かすような深刻な事態に発展することも珍しくありません。 ベテランのエンジニアですら、サンプリング・システムに手を焼くことがあります。 今回は、Tony WatersとPhil Harrisの両氏が、二人合わせて計80年の経験を基に、サンプリング・システムによく見られる課題を紹介します。
分析器のメンテナンス時に頻発する問題
スウェージロックのフィールド・エンジニアは、さまざまなサンプリング・システムの現場に立ち会った際に、プロセス分析器のメンテナンス時に頻発する問題に悩まされているお客さまの姿を目にしています。 分析器に問題が生じると、メンテナンス担当者はトラブルシューティングに忙殺され、作業が深夜や週末にまで及ぶことさえあります。
プラントにおける分析器の信頼性を向上させるには、メンテナンスをきちんと行って、サンプリング・システムにおける単純な取り付けミスを根絶することです。 逆止弁を逆向きに取り付けてサンプルの流れを妨げていたり、ファスト・ループが逆流していたりするといったミスは、深刻ではあるものの簡単に修正することができます。
サンプリング・システムの設計上の問題
サンプリング・システムの設計に不備があると、問題が次々と生じるおそれがあります。 スウェージロックのフィールド・エンジニアが繰り返し目にする問題のひとつに、流体ラインの加熱が適切に行われていないケースが挙げられます。 配管の加熱が不十分な場合や、その逆、つまり配管の温度が高くなりすぎてサンプルが重合したり分解したりする場合があります。 また、想定外の液体が流入するケースもあります。周辺装置にそのような液体が付着すると、不具合が生じるおそれがあります。
経験が浅いエンジニアが設計ミスを犯し、設計をチェックするエンジニアも経験不足からそれを見落としてしまった結果、サンプリング・システムにその設計ミスが残ってしまうことがあります。 サンプリング・システム設計に関する知識不足を補うには、設計の基本を学ぶことができるトレーニング・プログラムを受講することをお勧めします。 スウェージロックでは、さまざまな経験レベルと関心をお持ちのお客さま向けに、 プロセス・サンプリング・システムのトレーニング・コース を提供しています。いずれのコースも、数十年にわたって経験を積んできた業界の専門家が担当します。
隠れた課題
プロセス分析器が適切に動作しているように見えても、実は有効性が著しく損なわれている場合があります。 その一例が、極めて長い時間遅れが生じているケースです。 オペレーターが測定結果を得るまでに数時間、場合によっては数日かかることもあります。 なお、サンプリング・システムの応答時間は、1分というのが業界基準とされています。 測定値では分析器に異常がないように見えても、元の情報が古くてはまったく意味がありません。システム内の流体の状態をリアルタイムで示しているとは言えないからです。
時間遅れをきちんと把握していないと、プロセスを適切に制御できない場合があります。 時間遅れを短縮するには、システム設計を変更するしかありません。 サンプリング・システムの設計に簡単な修正を加えるだけで、大幅な時間遅れを業界基準の1分にまで縮めることも可能です。
評価の専門家を招く理由
プロセス分析器サンプリング・システムを新鮮な目で見直すと、何年、何十年もの間抱えてきたプラントの問題を解決できることもあります。 スウェージロックのフィールド・エンジニアからは、システム評価と改善を行ったことで、設置以降初めて分析器が正しく稼働したというケースも報告されています。
サンプリング・システムの評価を専門とする担当者は、お客さまのシステム全体を調べ、サンプルが正確にはどこから来ているのか、プロセス分析器に到達する前に何が起きているのかを調べます。 たまり部の解消といった簡単な改修を行うことで、分析器の応答時間を短縮し、コンタミネーションを低減することも可能です。 スウェージロックでは、分析器システムのオペレーションを改善し、個々のアプリケーションに合わせてカスタマイズした解決策を提供する 評価/アドバイス・サービス を提供しています。
サンプリング・システムの問題にお悩みでしたら、最寄りのスウェージロック指定販売会社までお問い合わせください。