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ACT Expoレポート:水素自動車とゼロエミッション技術のニーズに応えるには | リファレンス・センター | スウェージロック

水素車両ACTエキスポでの人々

ACT Expoレポート: 水素自動車とゼロエミッション技術のニーズに応えるには

自動車OEM各社は、排気ガスの削減と効率化に取り組んでいます。こうしたクリーン輸送の最新トレンドと技術を発信するイベント Advanced Clean Transportation (ACT) Expo が、米国カリフォルニア州で開催されました。

技術革新が進む輸送業界の流れを受け、ACT Expoもこの数年で変化しています。 現在のACT Expoは、ゼロエミッション自動車と低エミッション自動車、つまり未来の輸送スタイルを生み出す技術に焦点を当てた内容が大部分を占めています。

こうした状況が加速する背景には何があるのでしょうか。 まずは輸送・モビリティ業界に数々の企業が新規参入を果たし、技術と事業運営の両面で従来のモデルを破壊しつつあることが挙げられます。 クリーン輸送技術の新規開発と排気ガス抑制を奨励する策が、世界各地で打ち出されていることも一因でしょう。 かくして排気ガス削減技術は、過去とは比べものにならないほどの熱い視線を集めています。

私は今回ACT Expo 2019に参加してみて、技術が進化している一方で、OEMが乗り越えなければならない新たなハードルがあることを改めて実感しました。 ここでACT Expo 2019で気付いたことをいくつか列挙してみましょう:

動力、航続距離、インフラの課題

さまざまな要因が原動力となり、クリーン技術を取り入れた自動車や装置の導入が今後も進んでいくことは間違いありません。 サプライヤー各社は、こぞってソリューションの開発に取り組んでいます。

中でも注目されているのが電気自動車(EV)です。 100%電気で走る自動車はクリーンで、かつバッテリーのコストも年々下がっているため、短距離の通勤などでは費用対効果に優れたソリューションとして広がりつつあります。 その一方で、電気自動車ならではの課題があるのも事実です。 例えば商業用の大型輸送トラックを電気で走行させるには、長距離貨物輸送に対応できるバッテリーの開発が必須でしょう。 短くて30分、長い場合は10時間にも及ぶ充電時間も大きな課題です。 電気自動車用の充電ステーションのインフラ整備に至っては、一部の地域を除いて設置すらされていません。 さらに、 電気自動車用バッテリーの製造に必要な原材料が不足 しているのも問題です。 特に米国ではこの傾向が顕著です。今後さらに原材料不足が進めばコストが上がる可能性が高く、さらにバッテリーが耐用年数を迎えると廃棄物処理の問題は避けられません。

このような課題を抱える電気自動車に代わって、水素自動車が急速に台頭してきています。 水素ガスと酸素で電気モーターを回して走行する水素自動車には、ゼロエミッション、高馬力、トラックなどの過酷なアプリケーションに必要とされるトルクといった実用的な特長があります。 クリーンな再生可能エネルギーで発電する水素自動車は、真のゼロエミッションを達成することができます。 もちろん課題もありますが、電気自動車に比べればわずかなものです。 ある水素自動車OEMは、すでにガソリン車に匹敵する480 km以上もの航続距離を達成しており、水素ステーションにおける補給時間もさらに短縮可能であるとの見込みを発表しています。

現時点では水素を輸送するためのインフラに制約があることは否めませんが、一部のOEMからは、莫大な資金を投じてこの状況を打開しようとする動きも出始めています。 電気トラックトレーラーと水素自動車に特化した企業で、ACT Expoのメイン・ステージでプレゼンテーターを務めたNikola Corporationは、 2028年までに全米700カ所に水素ステーションを設置 する計画を発表しました。 同社のビジネス・モデルは、自動車製造とインフラ整備の課題解決に同時進行で取り組むというユニークなもので、これが一般ユーザーの間で水素自動車の人気が高まるきっかけになることは大いに考えられます。

水素自動車用の効率的なインフラを整備する

事業者と消費者の双方にとって実用的な技術として水素自動車が普及するためには、しっかりとしたインフラの整備が鍵を握っています。 その中でも特に、車体と水素ステーションで安全かつ効率的に水素を貯蔵する技術の開発が重要な部分を占めています。

一般道路での走行を実現するには、いくつかの課題があります。 あらゆる燃料の中で、水素は質量当たりのエネルギーが最も高い一方、単位体積当たりのエネルギーは低いため、エネルギー密度の上昇に対応可能な最先端の方法で貯蔵することが不可欠です。 液体水素は極低温下での貯蔵が必要なため、自動車での利用には適していません。 水素ガスの場合は、その貯蔵効率を考えると高圧タンクや高圧燃料システムが必要となります(通常は、一般乗用車~商用トラックで350~700 bar)。

水素の貯蔵効率と耐圧は、サプライ・チェーン全体で達成する必要があります。 水素は、現場で生成される、またはトレーラーで水素ステーションに運搬され、圧縮後に施設のタンクで定置貯蔵されることになります。 このタンクからディスペンサー(一般的なガス・ポンプの水素版)に水素ガスが送られ、エンド・ユーザーはこのディスペンサーを操作して水素自動車に水素を補給します。 この際に、自動車の圧力仕様に合わせて、水素ステーションで圧力を少し上昇させる必要があります(900~1,000 bar)。

水素自動車が現実的かつ効率的な輸送手段となるには、水素輸送のインフラ全体で高圧を適切に維持し、コスト損失につながる漏れを完全に防止することが必要です。 水素エネルギーの実用化に向けた新しい枠組みを構築するには、設計や材質選定の際に、高圧への対応や漏れの防止という点を念頭に置いておかなければなりません。

今回は、業界で注目されているクリーン輸送のトレンドのごく一部を紹介しました。 大切なのは、サステイナブルな未来に貢献すること。 スウェージロックは、今後数十年以内のゼロエミッションあるいは低エミッション自動車の開発に取り組むOEMの皆さまに、各種サポートやアドバイス、高品質な製品を提供しています。 また、材質科学の知識と経験を活かし、厳しい圧力条件や温度条件下でも漏れない配管システムを、数々の過酷なアプリケーションにおいて実現してきました。 クリーンな輸送のニーズを満たすべく知識と技術を結集し、安全性・効率性・信頼性に対するお客さまの期待にお応えするべく、これからも尽力していく所存です。

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