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小さなフットプリント(設置面積)に秘められた大きな可能性:ALDバルブの進化が半導体の成功を後押しする

半導体産業向けのALD20 UHPバルブのクリーンルームでの取り付け

1つの新しいバルブが半導体製造を変える3つの理由

Matt Ferraro

半導体市場で生き残っていくのは、容易なことではありません。 半導体ウェハ製造業者は、高価な材料、腐食性ガス、極端な温度を扱う非常に複雑なプロセスにおいても、最高レベルの精度を維持しなければならないというプレッシャーを常に抱えています。 特に競争力を維持しつつ、急速に進化するテクノロジー需要にも応えなければならないといったストレスを考えると、エラーはほぼ許されません。

半導体製造装置OEMも、同様のプレッシャーにさらされています。 装置の効率性を改善し、競合他社との差を打ち出した製品を設計するには、継続的な取り組みが欠かせません。これで そのOEMの顧客は品質に妥協することなく、効率性を高めることが可能になります。 おそらく更に重要なのは、そういった顧客が絶えず先を見据えて、製造業者がプロセスや材料(新しいプリカーサー・ガスなど)を最適化する方法を見つけ、次世代のデバイス・テクノロジーにおける先駆者となるべく、競い合うことでしょう。

長年にわたって、半導体メーカーは 原子層蒸着 プロセスの最適化がビジネスの成功に不可欠であると考えてきました。 このプロセスに欠かせないのは、半導体デバイス製造時の蒸着プロセス中に、正確な量のガスを供給することが可能な 超高純度(UHP)用バルブ です。 比較的小さな部品ながら、このバルブはデバイス製造プロセスの成否を左右するほどの大きな影響力を持っています。

原子層蒸着プロセスで使用される超高純度用バルブは、一般産業向けアプリケーション用バルブに比べて大きく進化しているものの、半導体メーカーは、最近の熱安定性や流量性能などに関しては、より高い性能を求めています。 ALDバルブの機能は、長年にわたって劇的に変化してはいませんが、 半導体業界 が新しいレベルの革新性と生産性を実現するには、変化が必要なのは明らかです。図1:放出ガスの冷却

改善の余地を認識する

熱安定性

原子層蒸着プロセス中に、低蒸気圧のガスが早期に固化するのを防ぐには、超高純度用バルブを加熱する必要があります。 ただし、既存の超高純度用ダイヤフラム・バルブに取り付けているアクチュエーターの大半は、ガス・ボックスに入れて加熱することができないため、アクチュエーターを熱的に分離して機能を保護する必要があります。 この際に、バルブの部品間で温度差が生じるおそれがあります。 温度差があると透過ガスが冷却されるため、図1に示すように、温度差が色の違いとなって表れます。

これが特に問題となるのは、プリカーサーを使用する場合です。蒸着前にガスの状態を維持するためには、プリカーサー温度の安定が欠かせません。温度が不安定だと残留物が蓄積し、一貫性のない投与につながりかねません。 半導体市場における再現性の重要度を考えれば、ばらつきやブレの可能性を無くすことを望む人は少なくありません。

流量

半導体用装置のOEMや製造業者にとって、原子層蒸着プロセスに適した既存の超高純度用バルブでは、流量が制限されるのも大きな課題でした。 既存の超高純度用ダイヤフラム・バルブの流量は、これまで一般的に許容されてきたものの、バルブが加熱されると流量が低下する場合がありました。 バルブの流量性能が高まったことで、このような状況下でも半導体ウェハを製造する(または少なくともプロセスの柔軟性が高まってプリカーサー・ガスが安定する)ことが可能なため、プロセスの収益が高まることが期待できます。

図2:差圧と流れ新しいことを試す能力

今日の半導体製造には独自の課題が沢山ありますが、明日の競争上の優位性を考えれば、新しいプロセスや流体を試す必要もあるでしょう。

非常に軽いプリカーサー・ガスを使用すれば、今日のマイクロデバイス・テクノロジーや原子層蒸着プロセスを改善する可能性があるものの、既存のALDバルブ・テクノロジーでは、一貫して大流量を供給することができません 。バルブを通る際に圧力損失が生じて低蒸気圧状態となり、相の変化が生じるのを防止するには、大流量が必要です。 図2は、3つのバルブの圧力損失に対して流量が与える影響を示しています。

プロセスの流れを遅くすることで、圧力損失が低くなって低蒸気圧プリカーサー・ガスを使用することができますが、システム全体の効率は下がるため、経済的な面を考えれば好ましいことではありません。半導体メーカーにとって、超高純度用バルブ・テクノロジーの進化は、経済的な犠牲を払うことなく次の製品を生み出すための鍵なのです。

3つの課題、1つのソリューション

明るいニュースは、次世代のALDバルブ が市場に出て来たということです。また、既存のALDバルブのデザイン改良により、マイクロデバイス製造の展望は明るいと言えるでしょう。その理由は以下の3つです。

図3:熱安定性1. アクチュエーター部分を含め、バルブ全体をガス・ボックスに入れて使用することが可能

一貫性が重要なアプリケーションでは、現在の原子層蒸着プロセスと比べて蒸着にばらつきが出るというリスクが少なくなりました。 新しいALDバルブは、アクチュエーターを取り付けた状態で最高200°Cまで加熱できるため、アクチュエーターを断熱しなくても、一貫性や投与精度を維持することが可能です。つまり、次世代のALDバルブを流れるガスは、均一な温度にさらされることになるため、プロセスからある程度のばらつきを取り除くことができます。 図3は、理想的な熱安定性の状態を示しています。図1の温度変化と比較してみましょう。

2. 流量が飛躍的に増えている

半導体業界では、クリーン度や部品の寿命はそのままで、求められていた以上の大流量を達成できるようになりました。 既存バルブの流量係数は0.6 Cvですが、新しいバルブでは同じフットプリント(1.5 インチ)で流量係数が1.2 Cvと倍増しているため、装置製造業者は装置改造といった大幅なプロセス変更を行うことなく、生産性を高めることが可能です。 なお、わずかに大きなフットプリント(1.75 インチ)の新しいALDバルブを使用することができれば、既存のALDバルブ流量のほぼ3倍にあたる最大1.7 Cvの流量係数を実現することが可能です。

新しいALDバルブでは、従来のダイヤフラムではなく、ベローズを採用したことで、このような流量の大幅アップが可能になりました。 ベローズ・バルブは大流量に対応し、新しいALDバルブ内のベローズには高度な研磨を行って表面を0.13 μm Ra に仕上げることで、現在市販されているダイヤフラム・バルブに期待されている超高純度向けの性能を実現しています。 図4では、バルブの中央にベローズがあります。 新設計では、両方のバルブ・テクノロジーのベストな特長を1つの超高純度用バルブに取り入れることで、非常に高いサイクル・ライフを実現しています。

図4:ALDバルブの断面図とベローズ3. 向上したパフォーマンスが革新性を生む

半導体業界において先見の明がある企業は、革新性を取り入れる余地があるでしょう。 新しいALDバルブ・テクノロジーでは、これまでは対応していなかった元素も使用可能な性能と耐久性を実現しています。よって、低蒸気圧のプリカーサー・ガスを試して、現在の原子層蒸着プロセスで使用されている材料よりも優れた性能を発揮する材料を見つけることも可能です。新しいALDバルブは、一貫した温度を維持し、大流量を実現するだけでなく、合金22などの耐食性の高い材料を使用しています。つまり、厄介な孔食やすき間腐食などを気にすることなく、より反応性の高い化学物質を取り扱うことが可能になるのです。

要求の厳しい業界向けのオプション

スウェージロックが最近リリースした 超高純度用 ALD20バルブ などの新しい超高純度用バルブは、プロセス効率はそのままで、半導体メーカーが必要としている高品質の蒸着を実現することで、市場を変える大きな可能性を秘めています。 しかしながら、刻々と変化する要求は変わらないということです。

装置製造業者およびファブリケーターは、プロセスやシステム設計を調整してALD20バルブのような部品を最大限に活用する一方、スウェージロックは引き続き独自の革新性と継続的改善を追求し、お客さまと協力して業界の課題に対する新しいソリューションの開発に努めます。 半導体市場に従事するということは、言ってみれば終わりの無い歩みを意味しますが、スウェージロックはその歩みのサポートをさせていただきます。

半導体業界向けの超高純度用バルブ、中でも新しいALD20バルブの詳細につきましては、以下のリンクをクリックしてください。 最新のALDバルブ・テクノロジーをお客さまのオペレーションに活用する方法につきましては、最寄りのスウェージロック指定販売会社 までお問い合わせください。

大流量用途向け超高純度用 ALD20バルブのページはこちら

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