信頼性の高いマイクロリアクターで未来を切り開く
マイクロリアクターの妥協なき信頼性を実現するには
マイクロ合成技術は、世界中で最新の工業生産、化学工学、プロセス・エンジニアリングなどで使用される画期的なツールとなっています。その用途は、製薬、工業化学製品、食品およびライフ・サイエンスなど、さまざまな業界において拡大しています。
ドイツの エアルフェルド・マイクロテクニック社 は、フロー・ケミストリーのアプリケーションにおいて重要な役割を担う高品質のマイクロリアクター・システムのリーディング・カンパニーであり、マイクロリアクター技術開発の最前線に立つ企業のひとつです。マイクロリアクター技術が成熟した昨今、同社のリアクターは、産業環境において妥協なき生産スケールで作動することが期待されています。
エアルフェルド・マイクロテクニック社はどのようにしてこういった課題に対応しているのでしょうか?エアルフェルド・マイクロテクニック社でプロジェクト・マネジャーを務めるラファエル・クヴァルツ博士に、スウェージロック・フランクフルトの流体システム専門スタッフのサポートのもと、いかに高い信頼性をお客さまにお届けしているかについてお話を伺いました。
スウェージロック・リファレンス・センター担当者(以下SRP): 本日はお時間をいただきありがとうございます。まずは、御社の製品が使用されているアプリケーションについてお聞かせいただけますか?
ラファエル・クヴァルツ博士: エアルフェルド・マイクロテクニック社は、一般的な工業プロセスのユニット・オペレーションに対応する独自のモジュラー・マイクロリアクション・システム(MMRS)を提供しています。当社のモジュールは、統合スケールアップ・コンセプトを採用しており、工業化学生産プロセスのスケール変換をサポートしています。
海外のお客さまの大半は、特殊化学品製造業や製薬業界に従事しています。当社のリアクターは要求の厳しいさまざまなプロセスに使用することができます。中でも製薬業界が特に注目しているのが、高効率の熱交換と高速の混合によって明確かつ再現性のある結果を得ることができるほか、プロセス制御の簡素化および遅延の最短化を実現する当社の技術です。また、化学業界では、過酸化水素反応、エトキシル化、水和、オゾン分解といった取り扱いが難しいとされる重要な化学反応に当社の技術が活用されています。さらに食品メーカーやライフ・サイエンス企業については、アイスクリームやヨーグルト、スキンケア製品、ヘアケア製品などのプロジェクトをサポートしています。
お客さまの現場でMMRSを取り付けるというケースも少なくありません。その際、さまざまなインフラに当社のシステムを組み込むという課題と向き合わなければならず、あらゆる状況に対応できる接続部が必要となってきます。このような課題に対処するべく、当社は10年間にわたってスウェージロック・フランクフルトの協力のもと、作業を行ってきました。
“Swagelokチューブ継手が使用できない接続部は、皆無といっても過言ではありません。”
SRP: それは確かに大変そうですね。スウェージロックとの関係はどのように構築されていったのでしょうか?
クヴァルツ博士: 私がスウェージロックを知ったのは、大学院生の時でした。学生仲間と一緒に組み立てた実験装置には、すべてスウェージロックの部品を使用していたのです。現在、仕事でスウェージロック製品を使用してみて、Swagelokチューブ継手 が使えない接続部は皆無だということを改めて認識しました。これは大きなメリットです。特に幅広いタイプの計器、センサー、リアクターを、信頼性が高く専門的な方法で接続しなければならない場合には、非常に助かります。
継手を標準化すること で、お客さまの現場でシステムを取り付ける際に、日々の作業をスムーズに進めることができます。また、有毒ガスや可燃性ガスの取り扱いや、300 C°を超える温度のテスト施設に欠かせないプロセスの安全性と品質を高レベルで確保することができます。このような状況は、当社の技術革新が進むにつれ、ますます過酷さを増していくと考えています。
SRP: マイクロ合成技術は、さまざまなプロセスで活用されていますが、普段手掛けているアプリケーションはどのようなものでしょうか?また、一般的にどういった課題がありますか?
クヴァルツ博士: 当社が直面している課題としては、この新技術に時間とお金を投資していただけるようにお客さまを説得すること、リアクター・システムでほぼすべてのタイプの化学反応を取り扱えること、お客さまの期待にお応えすることなどが挙げられます。例えば、私の仕事は、お客さまの要望に沿って試験用のプラントを構想し、最短時間で組み立てを行うことです。
“高品質のステンレス鋼、また必要に応じて
特殊合金を使用することで、
腐食の問題を回避することができます。”
スウェージロックには、そこをサポートしてもらっています。私たちの仕事は、外部の計器やセンサー、分析装置を当社のシステムに組み込んだり、流路や電気の接続 を行ったりすることです。とりわけガスと液体の両方を扱うプロセスでは、スウェージロックの部品が欠かせません。大半のアプリケーションは、高圧(最高100 bar)かつ高温(最高250°C)で稼働させるため、安全性、品質、信頼性が特に重要となるのです。
高品質のステンレス鋼、また必要に応じて特殊合金も使用することで、腐食の問題を回避する ことができます。例えば、オレフィン系有機化合物のオゾン分解については、当社は何度も成功を収めています。それというのも、ハステロイ®C製の部品を使用することで、腐食の懸念を払しょくすることができたからです。
“すべての接続部に
スウェージロックの標準部品を使用することで、
さまざまなタイプのインフラに当社のシステムを
確実に組み込むことができます。”
SRP: 御社のリアクターは非常にフレキシブルですが、モジュール性を重視する理由を教えてください。
クヴァルツ博士: このモジュール性こそが成功の鍵を握っているからです。モジュール性によってシステムをプロセスに迅速かつ容易に適合させることができるのですから。例えば、多段階合成を行う際には、各オペレーションを分割して ひとつずつ最適化を図ります。すると、完全に最適化された反応を得ることができ、当社の統合スケールアップ・アプローチを活用して、生産スケールに変換することができます。また、市販のセンサーやアクチュエーターを組み込むことで、モジュラー・システム内のプロセス・パラメーターをモニタリングすることも可能になります。
さらに、新規に開発したモジュールや変更したモジュールについても、簡単に統合することができます。すべての部品は個別に分解することができ、クリーニングも容易に行うことができます。すべての接続部にスウェージロックの標準部品を使用することで、お客さまの現場で使用されているさまざまなタイプのインフラに当社のシステムを確実に組み込むことができます。
SRP: 御社の今後の展望についてお聞かせください。
クヴァルツ博士: 当社の技術をさらに発展させ、中国、インド、ロシアなどの新市場や拡大する市場に進出していきたいと考えています。それにはスウェージロックのサポートが不可欠となってきます。ひとつ例を挙げると、私たちは中国市場をサポートするべく、上海に子会社を設立しました。中国には、厳しい安全要件と省スペースを満たす生産プラントの設立に意欲を示している企業がいくつも存在します。
世界中のお客さまは、スウェージロックの部品についてよくご存じです。そのため、今回のパンデミックのように電話やビデオ会議でしか連絡が取れない場合でも、プラントの設立を効率的に行うことが可能です。とは言うものの、近いうちに、私たちのシステムとSwagelokチューブ継手でいっぱいの工具箱を携えて、お客さまのもとを訪れる日が来ることを願ってやみません。
***
スウェージロック部品を活用した、アプリケーション内での信頼性の高い接続部の詳細につきましては、スウェージロックの流体システムの専門家がご相談に応じます。まずは、最寄りのスウェージロック指定販売会社までお問い合わせください。
関連コラム
分析室の安全性と生産性を向上させるために
分析室の安全性および生産性を維持するには、ガス供給システムの最適化が欠かせません。
導入事例:イネオス石油化学工場の安全性を支えるスウェージロック
ドイツ・ケルンにあるイネオスの石油化学工場。同施設での安全なオペレーションは、スウェージロックが支えていると言っても過言ではありませんが、その背景には二社の密接な協力関係があります。 今回は、スウェージロックの流体システム・コンポーネントと専門知識がサポートする、イネオス石油化学工場の安全性を紹介します。
スウェージロック、触媒試験システムの製造プロセスのスピードアップをバックアップ
ベルリンを拠点とする自動試験装置メーカーIntegrated Lab Solutionsは、触媒試験システムの製造時間を短縮することに成功しました。この成功を支えたのが、お客さまの問題解決に献身するスウェージロック顧客担当者と、最高水準品質を誇るスウェージロックの流体システム・コンポーネントです。