バルブやホースにタグを付けてメンテナンス性の向上を実現する
バルブやホースのタグを用いたメンテナンス・プログラム改善策
これから一般産業用流体システムのメンテナンスを行うとしましょう。作業指示書には、「システム内の特定のアプリケーションでは、ホースに注意を払うこと」とあります。
関連するアプリケーションを確認したところ、上向きに取り付けた何本もの ホース 内を危険な流体が流れており、その流れを制御しているバルブが10個以上あるものの、どれも一目で識別するのは容易ではありません。すぐに、さまざまな疑問が沸いてくるのではないでしょうか。
- どんなタイプの流体やガスを移送しているのか?
- 流体の圧力や温度は高いのか?
- 危険性はあるのか?
- 各ホースの使用期間はどのくらいか?
- ホースの材質は?どういう交換が必要なのか?
システム略図を参照すればこういった疑問は解消するかもしれませんが、場合によっては、かなりの時間と手間がかかることも考えられます。その間ずっとアプリケーションを止めてメンテナンス作業を行うとすると、ダウンタイム(停止時間)や逸失利益が発生するかもしれません。
こうした状況は、流体システム・アプリケーションにおいては珍しいことではありません。ただし、簡単なソリューションがあります。それは、流体システムの部品すべてにタグを付けることです。さほど重要ではなさそうな部品であってもタグを付けましょう。タグをどのように活用すればうまくいくのか、適切な情報を確実に記載するためにはメーカーとどのように協力すればいいかについて、スウェージロックの専門スタッフ2人に、独自の見解を尋ねました。ホースや バルブ などの部品にタグを付けることによって得られる利点(メンテナンス効率の向上、システム稼働時間の改善など)を紹介します。
積極的なメンテナンス・アプローチ
スウェージロック・マンチェスターでフィールド・エンジニアを務めているポール・スティーブンス氏は、次のように述べています:
「大半のプラントでは、主要な流体システム・コンポーネント、つまりシステムのオペレーションに欠かせないポンプなどの部品にタグを付けています。しかし、すべての生産施設が、現場にある部品一つひとつにタグを付けているわけではありません。ホースやバルブにタグが付いていれば、メンテナンス担当者が識別に頭を悩ますことがなくなります。
例えば、複数のホースを使用しているシステムの定期点検を行うとします。適切なホース識別タグ・システムを導入していれば、各ホースを最後に取り付けた時期、コア材料、移送している流体といった重要な情報を把握することができます。 タグが付いていなければ、推測するほかありません。メンテナンス担当者が、目に見える問題がないことを理由に、どのホースも良好な状態にあると勝手に判断するかもしれません。
しかし、大半のレギュレーター、ホース、バルブでは、メンテナンスの時期が決まっています。こういったメンテナンスが必要かどうかは、目視でチェックしただけではわかりません。耐用期間を過ぎたホースやバルブを使用していると、問題が生じるおそれがあります。問題が起きてから、メンテナンス・チームが対応に追われることになります。タグがあれば、先を見越して部品を交換することで、不具合の発生を未然に防ぐことができます。
また、タグを付けておくと、現場で発生した特定の問題や不具合を識別しやすくなります。このようにタグを付けて問題を記録しておくことで、メンテナンスの際に交換や作業が必要な部品を素早く識別することができるのです」
少なくとも、タグには型番、製造日、トレーサビリティ用の識別番号を記載しておきましょう。タグがあれば、製品の注文時 の指示を読み取ることができます。システム流体、使用圧力、温度といった情報も重要なため、タグに記載しておきたいところです。
適切な情報で効率性を向上
スウェージロックでホース技術サービスを担当するアーロン・リンドローズは、次のように述べています:
「効率性の向上を図る上で、タグはコストパフォーマンスの高い方法と言えます。製品を容易に識別できれば予防保全メンテナンス・プログラムを効率的に行うことができます。ただし、それには適切な情報を表示しておくことが求められます。
少なくとも、タグには型番、製造日、トレーサビリティ用の識別番号を記載しておきましょう。タグがあれば、製品の注文時の指示を読み取ることができます。ホース・メーカーの中には、こういった情報を各ホースに標準で記載しているところもあります。また、個々のプラントや業界のニーズに合わせて、数種類のタグを提供しています。例えば、スウェージロックでは、シンプルな金属タグや、色で識別可能なタグ(ホースのエンド・コネクション付近に巻き付けて使用)など、マーケットに合わせて数種類のタグを提供しています。また、 ホースに関するあらゆる問題 を解決するべく、お客さまのサポートも行っています。
なお、タグに刻印可能なデータ量は、タグのタイプやサイズによって異なります。データは最大5行、1行につきスペースを含め最大25文字です。ご要望に応じて、タグをプラチナ加硫シリコーンで覆うことも可能です。たまり部分を最小限に抑え、ホース外面を洗浄しやすくなります。こういった情報が一目で分かれば、より容易かつ効率的にシステムのメンテナンスを行うことができます」
ここで、冒頭の話に戻りましょう。一般産業用ホースを使用しているアプリケーションのメンテナンス作業指示書を受け取ります。今回は、システム流体、使用圧力、初回取り付け日などに関する疑問があっても、タグを見れば答えは一目瞭然です。これで、容易かつ効率的にメンテナンス作業を完了することができます。システムのバックアップや稼働にかかる時間も短縮されます。
施設で効果的なタグ・システムを開発する方法について、詳しくお知りになりたいですか?スウェージロックの専門スタッフにご相談ください。最寄りのスウェージロック指定販売会社までお問い合わせいただければ、メンテナンスの迅速化、システムの安全性向上、システム停止時間の最短化を実現する方法をご紹介します。
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