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液体グラブ・サンプリングの安全性および効率を高める

 

適切なシステム設計により、安全かつ効率的な液体グラブ・サンプリングを実現する

Matt Dixon、アプリケーション・コマーシャライゼーション担当マネジャー、スウェージロック

化学プラント、製油所、石油・ガス工場において、流体サンプリング作業を行う際に重要な役割を担っているのがグラブ・サンプリングです。グラブ・サンプリング(別名:フィールド・サンプリング、スポット・サンプリング、あるいは単にサンプリング)によってプロセスの状態を精査することで、必要な特性を備えた最終製品を生み出すことができます。

グラブ・サンプリングの方法は、プロセス流体の状態によって異なります。例えば、ガスや揮発性液体のサンプリングを行う際は、試料採取用ボンベにサンプルを採取してガスや液体の漏れを防止することで、潜在的な危険からオペレーターを保護する必要があります。

安全なガス・グラブ・サンプリングとは

サンプリング用ボトルの図不揮発性液体のサンプリングを行う際は、ボトルを使用したグラブ・サンプリングがオペレーターに経済的かつ容易なソリューションを提供します。今回のコラム記事では、適切なボトルを使用したグラブ・サンプリングの手法、そのプロセスで発生する可能性のある課題、そして適切なサンプリング・システムの設計がサンプリング作業にもたらす大きなメリットについて探ります。

ボトルを使用したサンプリングとは?

サンプリング・プロセスでは、パイプライン、タンク、システムからプロセスの状態を正しく表す流体サンプルを直接採取します。そして、離れた場所にある分析室に運んで分析を行います。サンプルを採取するためには、サンプリング用バルブをサンプリング・パネルに組み込みます。このバルブは、オペレーターの安全を確保し、サンプリングを容易に行い、サンプル量や効率を一貫して管理するための重要な部品になります。

グラブ・サンプリング・プロセスの手順は以下の通りです:

  • グラブ・サンプリング・バルブ のシュラウドにボトルを挿入します。
  • ボトルを挿入すると、2本のニードル(中空の針)がゴム製セプタムを貫通します。1本で液体サンプルを充填し、もう1本でボトル内の空気を抜きます。
  • グラブ・サンプリング・バルブを開状態にすると、液体サンプルがボトルに充填されます。
  • ボトルにサンプルが適切なレベルまで充填されたら、バルブを閉状態にしてサンプルの入ったボトルを取り外します。

ボトルを使用したサンプリングにおける課題

サンプリング・システムを使用しているフィールド・エンジニアグラブ・サンプリングにボトルを使用したサンプリングをした場合、ニードルの詰まりや曲がり、折れが生じ、グラブ・サンプリング・バルブのメンテナンスが必要になるというケースは珍しくありません。このため、工場によっては交換式ニードル・アセンブリーを組み込んだグラブ・サンプリング用バルブが好まれる場合があります。この設計により、バルブ本体からニードル・アセンブリーを取り外すことが可能になり、グラブ・サンプリング・バルブを交換せずに、ニードル・アセンブリーのクリーニングや交換を行うことが可能になります。

しかし、交換式ニードル・アセンブリーを使用すると、メンテナンスが容易になる一方で新たな課題が生じる可能性もあります。大半の交換式ニードル・アセンブリーに使用されているゴム製Oリングが、時間と共に硬化または劣化し、流体システムの漏れにつながるおそれがあるためです。このような問題が生じると、システムのさらなるメンテナンスが必要になるほか、オペレーターや環境にプロセス流体が曝露することにもなりかねません。

グラブ・サンプリング・バルブの設計により、いかにパフォーマンスを改善できるか

ボトルを使用した標準的なサンプリング・パネルに関する課題を克服すべく、サプライヤー数社が液体サンプル専用のグラブ・サンプリング製品を新たに開発しました。このグラブ・サンプリング製品には、工場においてオペレーターの安全性を高め、流体システムのメンテナンスを減らすと共に、サンプルの確からしさを高めるように設計されたグラブ・サンプリング・バルブが含まれます。

 漏れの無い性能アイコン

ニードル・アセンブリーとバルブ本体をチューブ継手で接続することで、
漏れの無い金属同士のシールが形成されます。

 

グラブ・サンプリング・システム を選定・指定する際は、どのような特性が必要なのかを見極めましょう。例えば、 チューブ継手 を使用して交換式ニードル・アセンブリーをバルブ本体に取り付けると、ゴム製Oリングを用いたグラブ・サンプリング用バルブに勝るメリットが得られます。ニードル・アセンブリーとバルブ本体をチューブ継手で接続することで、漏れの無い金属同士のシールが2か所で形成されます。また、ゴム製Oリングとは異なり、チューブ継手は幅広い化学物質や温度への耐性を備えています。このような漏れの無い設計を採用することで、プロセス流体の曝露が減り、オペレーターや環境を保護することができます。

他にも次のような特性を備えています:

  • Swagelokサンプリング・バルブ意図的なニードルの設計:大半のグラブ・サンプリング・バルブでは、ランセット・ポイント・ニードルが使用されています。この設計の場合、ボトルのセプタム部が切り取られることがあるため、ニードルの詰まりやボトルからのサンプル漏れが生じるおそれがあります。それに対し、ペンシル・ポイント・ニードルの場合は、セプタム部を切り取ることなく穴を開けることができることから、詰まりや漏れの発生を抑えることができます。
  • カスタマイズ可能なシュラウド:各種シュラウドから、工場で使用している既存のサンプル用ボトルに適したものを選びましょう。標準外のボトルを使用している場合は、ニーズに合ったカスタム・シュラウドをメーカーからお求めください。
  • スプリング・リターン式ハンドル:スプリング・リターン式ハンドル付きのグラブ・サンプリング・バルブを指定した場合、ハンドルを放すと自動的にバルブが閉位置になります。
  • エラストマー(ゴム)を使用しない設計:ゴム製Oリングを使用しないことで、システムの漏れが生じる可能性を最小限に抑えられるほか、工場のメンテナンス用部品の在庫を減らすこともできます。

グラブ・サンプリング・プロセスの改善を目指しているのであれば、まずはこのような特性を備えたシステムを選びましょう。優れた設計のシステムを採用すると、オペレーターがプロセス流体に暴露する可能性が低減することでプラントの安全性が向上すると同時に、流体システムのメンテナンスに要する時間を短縮することができます。

サンプリング・プロセスの最適化について興味がございますか?スウェージロックの流体システム・エンジニアにご相談ください。オペレーションを改善する方法につきましては、スウェージロック・リファレンス・センター をご覧いただくか、流体システムの専門スタッフ までお問い合わせください。

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