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水素インフラにおけるベスト・プラクティス・トップ5

水素流体システム設計におけるベスト・プラクティス・トップ5

水素は、クリーンかつ持続可能なエネルギー源および動力源 として、世界で有望視されています。輸送や材料の取り扱いから、オンサイト/ポータブル/非常用のバックアップ電源に至るまで、幅広いアプリケーションにおいて水素は有用であり、あらゆる業界が注目しています。

しかし、水素が持つポテンシャルを真に発揮させるには、水素ガスの取り扱い、移送、貯蔵、供給を担う重要な流体システムが、可能な限り安全で信頼性が高いことが求められます。また、必ずしも従来の業界知識や設計知見(通常はオイル/ガス業界に由来するもの)が水素アプリケーションにそのまま適用できるわけではないということを理解しておくことが重要です。

水素に関する事実を知る

なぜなら、水素は一般的なオイル/ガスなどの流体とは大きく異なることから、信頼性の高いインフラを実現するには通常とは異なる設計戦略が欠かせないからです。この点を念頭に置いて、水素インフラ・アプリケーション向けのシステム設計上の考慮事項トップ5を以下に示します:

#1. エンド・ユーザーを考慮する

ガソリン・スタンドのポンプは例外として、産業用オイル/ガス・システムが一般消費者の目に触れる機会はほぼありません。専門家が取り扱うケースが一般的です。水素設計のアイコン

 

水素システムは、特定の使用上の課題を念頭に置いて設計する必要があります。

 

 水素インフラの重要な一部である水素ディスペンサーを操作しているユーザー


しかし、水素はクリーンなエネルギー源として有望であることから、水素システムは一般人が直接触れるものになっています。輸送について考えてみましょう。燃料電池自動車に燃料を補給する際は、水素ステーションでユーザーが便利なディスペンサーを使って高圧の水素ガスを充填します。安全上の懸念を軽減するべく、水素インフラは特定の使用上の課題を念頭に置いて設計する必要があります。

  

#2. ポテンシャル・リーク・ポイントを最小限に抑える

課題のひとつとして漏れの可能性が挙げられます。そのため、システム全体で漏れの可能性がある個所を最小限に抑えることが重要です。

水素分子は非常に小さく、流体システムのごくわずかなすき間からでも漏れ出る可能性があります。それに比べて、原油などの大きな分子が同じすき間を通り抜けることは非常に困難です。つまり、従来のオイル/ガス・システムの設計では、漏れなく水素を封止する役割が果たせないということです。オイル/ガス分野で使用されるシール、材料、一般的なパイプや水素分子のアイコン チューブの接続方法では、水素を安全に封止することはできません。

水素分子は非常に小さく、流体システムのごくわずかな
すき間からでも漏れ出る可能性があります。

 

水素インフラのリーク・ポイントを削減するには、システム全体の接続個所を最小限に抑えるべく、継手を使用する代わりに、ふさわしい場所に適切なチューブ曲げ技術を利用することです。設計 トレーニング を通じて、サプライヤーのサポートを受けるのも良いでしょう。

 

水素インフラに最適な材料である高品質のステンレス鋼製バー・ストック

#3:高品質のステンレス鋼を使用する

水素分子は非常に小さいため、水素ぜい性 と呼ばれる独自の腐食形態の一因となることもあります。水素ぜい性が生じると、金属の延性、耐破壊性、耐疲労性が低下します。こういった問題はシステムの不具合につながり、安全上のリスク、ダウンタイム(停止時間)の増加、経済的損失が生じるおそれがあります。

しかし、水素ぜい性は、適切な材料を選定すれば防止できる可能性があります。一般的に、適切に設計された水素システムには、高品質の316ステンレス鋼チューブ、つまり長期の耐用年数にわたって優れたパフォーマンスを発揮することが実証されている材料を使用する必要があります。水素ぜい性が生じるしくみの図

 

水素ぜい性は、適切な材料を選定すれば
防止できる可能性があります。

 

 

 

 

水素設計に最適なステンレス鋼のニッケル含有量の図

 

 

特に、ニッケルを多く含むステンレス鋼の一部は、水素システムにおいて最適なパフォーマンスを発揮します。米国材料試験協会(ASTM)は、316ステンレス鋼の配合に関してニッケル含有量を10%以上にするよう求めていますが、水素特有の課題に対処するには、ニッケル含有量が12%以上の316ステンレス鋼が適しています。ニッケルが含まれているとステンレス鋼のミクロ組織が安定し、水素ぜい性への耐性が高まるためです。

 

 

 

#4:チューブ継手を最適化する

オイル/ガス・アプリケーションで定評のある部品であっても、水素アプリケーションに最適な選択肢とは限りません。

例えば、従来のコーン&スレッド継手は、オイル/ガス・システムで広く使用されていますが、水素封止用のシステムでは漏れが生じやすいと言わざるを得ません。実際、コーン&スレッド継手が設計されたのは1800年代後半のことであり、現在はより近代的で高性能な選択肢があります。水素設計のアイコン

 

コーン&スレッド継手は、水素封止用のシステムでは
漏れが生じやすいと言わざるを得ません。

 

水素インフラ用のチューブ継手

例えば、Swagelok FKシリーズ継手 は、水素アプリケーション用に特化した製品です。FKシリーズ継手の理想的な定格圧力は105 MPaまでで、発売以来さまざまな業界やアプリケーションで使用されており、水素自動車や水素インフラなどに最適な選択肢となっています。材質オプションとして高品質のステンレス鋼が選べることも、設計上最適な選択肢といえます。

水素用継手について

#5:専門家に相談する

水素はクリーン・エネルギーの新たなフロンティアです。インフラ開発業者や自動車OEMなどがリアルタイムで協力しながら、業界を前進させるべく信頼性の高いソリューションの提供に努めています。

しかし、必ずしも答えが簡単には見つかるとは限りません。何かわからないことがあれば、水素に関する水素設計トレーニングのアイコン知識、設計の専門知識、アプリケーションのニーズに基づく製品の推奨事項を提供できるサプライヤーに相談すると良いでしょう。

何かわからないことがあれば、水素に関する知識、設計の専門知識、
アプリケーションのニーズに基づく製品の推奨事項を提供できる
サプライヤーに相談すると良いでしょう。

 

これが、スウェージロックがクリーン・エネルギー分野に重点的に取り組んでいる理由のひとつです。重要な流体システム部品(水素用途に適した継手など)のほか、材料科学の専門知識や、専門スタッフによるエンジニアリング・サービスも提供します。スウェージロックは、水素アプリケーション向けの製品およびサービスを幅広く提供し、信頼性の高いソリューションの迅速かつ容易な構築をサポートします。

水素インフラを点検しているエンジニア

水素に関するベスト・プラクティス、製品選定、設計戦略などに関する詳細につきましては、スウェージロック・リファレンス・センター をご覧ください。この新たな水素の時代で大きな成功を収めるのに欠かせない情報を提供しています。

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