ガス供給システムの設計を改善し、コストを削減して安全性の向上を実現するには
Q&A:効率的にガスを供給し、コストの削減や安全性の向上を実現するには
ガス供給システムは、精製所、研究施設、分析室といった産業施設における効率的なオペレーションに欠かせません。しかし、このような施設のオペレーション担当者は、ガスの供給をメイン業務としているわけではありません。その他の重要な業務に時間とリソースを割いているという方が大半ではないでしょうか。
しかし、自社で開発したシステムであれ、ガスのサプライヤーに依頼して組み立てたシステムであれ、ガス供給システムを最適化することで、現場の安全性を高め、オペレーション・コストを削減する機会が存在するはずです。実際、スウェージロックのフィールド・エンジニアリング・スーパーバイザーを務めるジョン・ケストナーによれば、収益の悪化につながりかねない非効率な個所が多く存在するにも関わらず、それが組織で認識されないままオペレーションが行われている ガス供給システム は少なくありません。
どのように、そしてどこを改善することができるのでしょうか。プラントのガス供給システムが抱えている一般的な課題と、その効率的な解決方法について、ジョン・ケストナーに話を聞きました。
スウェージロック・リファレンス・センター担当者(以下SRP):これまでの経験から、ガスの供給に関して施設が抱えている問題には、どのようなものがあるでしょうか。
ジョン・ケストナー:ガス供給に関する最も一般的な問題のひとつは、当該システムでお客さまが必要としていることが、効率的に行われていないということです。
大半のアプリケーションでは、一定の高圧でガスを供給する必要があります。これはつまり、システムが供給源からユース・ポイントまで流量と圧力を維持することができなければ、安全かつ一貫して適切な圧力のガスを入手できないということになります。高圧ガスの封止や取り扱いが適切に行われていなかった場合、オペレーターに危険が及ぶおそれがあります。また、ガスの供給圧力が低すぎると効率が悪くなります。これは、システムのどこかにパフォーマンス上の問題があり、圧力損失が生じていることを示しています。残念ながら、こうした問題が見過ごされているケースも少なくありません。
次に多いのが、ガス漏れの問題です。漏れは、供給システムの至る所で発生する可能性があります。有毒ガスの漏れが生じると、作業者の安全や環境を脅かすおそれがあります。しかし、たとえ無毒なガスであっても、プラントで漏れが生じると、オペレーション・コストがかさむ可能性があります。大半の施設では、こうしたガスをサプライヤーから購入しているため、漏れによってガスを失うと、無駄なコストが発生することになります。例えば、窒素は分析室で毒性の強い物質を扱っているシステムをパージする際によく使用されています。このパージを効率的に行っていなかった場合、施設では窒素を浪費して大金を無駄遣いしていることになります。
SRP:なぜこうした課題は無くならないのでしょうか。発生のメカニズムを教えてください。
ジョン:非効率な設計や部品の不具合など、システム全体のパフォーマンスを阻害するような要因を挙げればきりがありません。レギュレーターの選定 はその良い例です。 適切なレギュレーターを選定するには専門知識が必要ですが、そうした知識が無いために間違ったレギュレーターを使用すると、システムに多大な影響を与えるおそれがあります。
ガス供給システムがどれだけ複雑かにもよりますが、非効率な部分を特定して
対処するのは容易ではなく、時間を要することもあります。
パフォーマンスを最適化するには、専門知識が必要です。
システム全体がどれだけ複雑かにもよりますが、このような非効率な部分を特定して対処するのは容易ではなく、時間を要することもあります。実際、ガス供給は最優先事項ではないことも少なくありません。むしろガス供給は、全体的なオペレーション効率を改善し、収益を上げるための数々のプロセスのうちのひとつに過ぎないのです。ガス供給のパフォーマンスを最適化するのに必要な専門知識は、必ずしも社内で得られるとは限りません。ガス・システムのオペレーションが効率的に行われていないどころか、コストのかかる問題が発生していることにすらオペレーターが気付いていないというケースも多々あります。
SRP:効率的なガス供給システムのパフォーマンスを実現するには、どうすれば良いのでしょうか。
ジョン:まずはシステムの全体像、つまり、どのような設計なのか、どのような部品で構成されているのか、どのような用途でガスが使用されるのか、といったことを把握する必要があります。ガス供給契約の一環として、第三者にガス供給システムの設計や構築を依頼したり、部品を納入してもらったりすることは、決して珍しいことではありません。これは手っ取り早いソリューションのように思えますが、このようなケースでは、オペレーターはほとんど自分でコントロールすることなく、重要なオペレーション・プロセスに対して画一的なソリューションに頼ってしまうことにもなりかねません。
システムに対する理解を深め、何を行うべきかがわかれば、改善方法を見極めることができます。場合によっては、設計の見直しや、システムで使用している部品やガス・パネルのアップグレードが必要になるかもしれません。次に重要なのは、ガス供給に関する一貫したベスト・プラクティスが、施設全体で守られ、実行されていることを確認することです。例えば、システムのユース・ポイントで作業を行う場合は、正しい手順に従い、正しい装置を使用することが重要になります。
これが、ガス供給アドバイス・サービス をご利用になるお客さまのために、スウェージロックが採用しているプロセスです。スウェージロックは、お客さまがシステムに対する理解を深める、部品の適切な選定に関する情報を提供する、設計の改良に関するガイダンスを行う、完全な文書を提供する、施設全体でのシステムの使用条件やメンテナンスに関するベスト・プラクティスを特定するといったことをサポートします。
スウェージロックのガス供給システム・アドバイザーが、いかにお客さまのガス供給システムを評価し、改善の機会を提案するかを紹介します。
SRP:具体的には、ガス供給システムの評価を行うことで、どのようなことが期待できるのでしょうか。
ジョン:ガス供給システムの評価プロセスは、供給源からユース・ポイントまで、現在のシステムのマッピングを行うことから始まります。供給源には、実験台の横にあるガス・ボンベ1本から、さまざまなガスのバルク貯槽を装備した専用ガス貯蔵室まで、あらゆるものが含まれます。
この時点で、アドバイザーはガス漏れを調べ、圧力レギュレーターなどの重要な部品をチェックし、そのサイズ、圧力制御範囲、材質が、システムや期待されるパフォーマンスに適合しているかを確認します。
それが終われば、アドバイザーはガス供給システムのパフォーマンスに関する詳細なレポートを提出します。レポートには、漏れの具体的な場所のほか、安全性、信頼性、パフォーマンスの改善に役立つ推奨事項も記載しています。
ガス供給プロセスのレビューを第三者に依頼することで、社内の負担が軽減されるだけでなく、ガス供給システムを最大限に活用するためにまず取り組むべきエリアを特定し、優先順位を付けることができます。
SRP:ガス供給システムに関して、他に施設のオペレーターが考慮すべきことはありますか?
ジョン:結局のところ、ガス供給システムのことはあまり気にするべきではありません。施設のオペレーターは、ガス供給システムよりも重要な業務をたくさん抱えているでしょう。ガス供給システムは、きちんと機能さえすればいいのです。そうすれば、施設のスタッフは収益を上げることに集中できるようになります。
これが、スウェージロックが目指すガス供給システム・アドバイス・サービスの価値なのです。このような知識と経験を持つサプライヤーと協力することで、ガス供給について懸念を抱くことなく、時間を節約し、安全性を高め、利益を上げることができるのです。
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