グローバルな産業建設におけるグラブ・サンプリング
大規模な産業建設:グラブ・サンプリングの品質、安全性、収益性を最適化するには
化学工場、下水処理場、製造工場、オイル/ガスのプラットフォームなど、大規模施設の建設工事管理は、容易に行えるようなものではありません。何千人もの人が関わり、競争が激しく、物流も複雑です。このような大規模プロジェクトが複雑になる中で、産業用流体システムと グラブ・サンプリング・システム の設計におけるベスト・プラクティスがおろそかになることも珍しくありません。
産業建設は、事前に承認された流体システム概略図から始まります。この概略図は、設計に従って現場で工事を行う下請け業者に提供されることになります。画一的なアプローチを行っていると、初期段階で細かい部分に対処することができず、後になって、サンプルの品質、安全性、環境保護などに関する課題に直面することになりかねません。
流体システムはひとつとして同じものはないため、後になって問題が生じることのないように、前もって検討を重ねておくことが重要です。
適切なグラブ・サンプリング設計の重要性
グラブ・サンプリングとは、取出し口から離れた分析室で分析を行うためのサンプルを採取するプロセスです。施設内のさまざまな場所(保管容器の近く、長い移送ライン上、プロセス・ライン上、フレアー・ラインなど)で、サンプルを採取して流体の品質をテストし、設定基準を満たしているかを調べます。また、移送前後にも、特に保管場所の変更がある場合は、サンプルを採取して、製品を検証します。
外部要因によってサンプルが変化し、品質や実際のプロセスの状態を正しく表すことができなくなるおそれがあり、サンプルの品質が低下すれば、コストがかさむことになりかねません。システム設計では、サンプルが次の条件を満たしていることを確認してください:
1. タイムリーなサンプルであること – サンプルが採取されてプロセス・ラインからサンプル容器に移送されるのにかかる時間を最短にし、外部要因がサンプルに影響を与える機会を減らすことが重要です。
2. プロセスの状態を正しく表している – サンプルがプロセス流体の状態を正しく表していなければ、有用な分析を行うことができません。
3. 適合性 – システムの構造材料とサンプルとの適合性があれば、システムの耐用年数にわたってメンテナンスや手直しを最小限に抑えることができます
また、サンプルを適切に取り扱うことも重要です。高圧の場所から液体をサンプリングすると、プロセス流体があふれ出したり、飛散したりする場合があります。これは流体が無駄になるばかりか、オペレーターや環境が危険にさらされるおそれがあります。
新規建設で効果的なグラブ・サンプリング・システムを実現するために
前述したように、画一的なアプローチでは、適切なシステム設計に必要な要素が見落とされ、後になって問題が生じることになりかねません。大規模な建設プロジェクトの開始時は、ベスト・プラクティスに従ってグラブ・サンプリング・システムを構築し、将来的な成功につなげるまたとない機会であると言えます。
グラブ・サンプリング・システムで、タイムリーかつプロセスの状態を正しく表し、適合性のあるサンプルを確実に入手するには、以下のポイントについて、経験豊富なアドバイザーのサポートを受けることをお勧めします:
プローブを選定する
最適なレベルの精度を実現するには、まずプロセス・ラインからサンプルを適切に採取することが必要です。アドバイザーは、採取に適した位置を決定したり、用途に合ったサイズのプローブを選択したりするサポートを行います。また、適切な長さ、サイズ、システム設計などを決定するための計算もサポートします。
グラブ・サンプリングの位置とグラブ・サンプリング・パネルの配置を決定する
最良の結果を得るには、グラブ・サンプリング・ポイントをプロセス・ライン上に計画的に配置する必要があります。安全なオペレーションを実現するには、グラブ・サンプリング・パネルは、高すぎたり、手が届きにくかったりするような場所ではなく、オペレーターがアクセスしやすいエリアに配置することも大切です。
温度および圧力を算出する
流体システムを構築する際に、サンプルの品質を維持するのに欠かせない計算を行っていないケースが見受けられます。ジュール・トムソン(J-T)係数などを用いて温度と圧力の計算を行い、圧力変化による温度への影響を予測し、サンプルの性質が変わらない(相変化しない)かを調べる必要があります。例えば、圧力が低下して気体が露点温度まで下がると、水滴が生じてサンプルの組成が変わってしまうことになりかねません。
パージ時間を算出する
使用するたびに、サンプル・ノズル、プローブ、移送ラインやサンプリング・パネルを完全にパージすることで、残留物が次のサンプルに悪影響を及ぼす可能性を減らすことができます。また、フレッシュなサンプルを得るには、システムをどのくらいパージする必要があるかも計算する必要があります。
サンプリング・システムの品質と安全性を確保するべく、時間遅れの計算や、さまざまな混合流体の相変化計算なども、アドバイザーによるサポートを受けることが可能です。
グローバル・コンストラクション・プロジェクトに向けて経験豊富なアドバイザーのサポートを得る
ラインを構築する前に、 流体システムおよびグラブ・サンプリングのアドバイザー を招き、システムのレイアウトに関するベスト・プラクティスについて相談して、最適なサンプリング結果を得るために必要な計算を完了しておくのが理想的です。スウェージロックのアドバイザーとエンジニアは、建設中に現場で作業を行い、大規模なプロジェクトの複雑なプロセスが円滑に進むよう、また完成した流体システムが品質、安全性、収益性などの面でベスト・プラクティスに準拠するようサポートします。
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