現場でのフィールド・エンジニアリング・サポートのメリット
エンジニアリング支援によって効率的な半導体製造を実現する:グローバル・フィールド・エンジニア・マネジャー グレッグ・ムリナーシに聞く
サプライ・チェーンを短縮して材料調達、在庫、出荷の問題を解決する必要に迫られる一方で、新しいファブの建設が急速に進んでいることから、デバイス・メーカーはそれに対応するためのソリューションを必要としています。また、プロセスや設備を標準化することの重要度が増し、半導体デバイスの需要が伸び続ける中、エンジニアリングの専門知識や材料の現地調達 も必要になってきています。
このような理由から、第三者によるエンジニアリング支援は、新しいファブ・オペレーション・チームの統合的な側面として、非常に貴重であると言えます。特に重要な高純度流体システムは、ファブの生産能力に大きな影響を与える可能性があります。そして、こうしたシステムを最適化するための専門知識が、必ずしも社内で賄えるとは限りません。
スウェージロックの半導体フィールド・エンジニアリング・チームを率いるグレッグ・ムリナーシは、半導体メーカーがファブの新規建設や既存ファブの改修を行う際に、外部の専門知識を利用することでメリットが得られると述べています。スウェージロック・リファレンス・センターでは、その理由についてムリナーシにインタビューしました。スウェージロック・リファレンス・センター担当者(以下SRP):半導体メーカーが一般的に使用可能なエンジニアリング支援の分野について教えてください。
グレッグ・ムリナーシ(以下GM):大半の半導体メーカーは、あらゆる方法でプロセスを強化し、生産性、信頼性、効率を向上させたいと考えていることでしょう。そこで流体供給システムおよびそのアプリケーションについて、第三者の専門知識を利用することをお勧めします。中でも、重要な装置に適した高純度用部品を選定する、既存の流体システムのパフォーマンスを最大限に引き出すための改善を行う、そして現場の流体システムを維持し、安定したスループットを確保するという3つの中核分野が特に重要になります。
半導体製造における方策は、ひとつとして同じものはありませんから、第三者がお客さまのオペレーションに特有のニーズを評価し、お客さまの要望に基づいたオーダーメイドのソリューションを提案することで、大幅な改善につながるのです。
SRP:ソリューションのカスタマイズについて教えてください。どのようにして開発するのですか?
GM:大半のファブでは、必要な調整や最適化を行うべく、既存システムに対するサポートを必要としているのではないでしょうか。例えば、スウェージロックのフィールド・エンジニア は、特定のシステムおよびそれに関連するケーブル、継手、接続部を確認し、それらのシステムについて詳細を記録します。そして、システムを変更または強化すべき個所を特定し、カスタム・ソリューションやアセンブリーの推奨に焦点を当てた洞察およびレポートをお客さまに提供します。
優秀なサプライヤーであれば、プロジェクトの設計や仕様をサポートすることも可能でしょう。具体的には、既存のコードや規格への準拠保証、化学物質/プロセス・ガス/水/廃棄物収集システムのオペレーション分析およびメンテナンスの実施、施設システムの故障モードおよび影響分析(FMEA)の実行、システム始動/最適化/シャットダウン機能のサポートなどが挙げられます。
SRP:なぜ、こういったサポートが重要なのでしょうか?
GM:現在、半導体産業では非常に需要が高まっているため、システムの不具合や機能停止といった緊急事態が生じると、半導体ファブにとって経済的な損失に直結するおそれがあります。外部のエンジニアリング・チーム、例えばスウェージロックのフィールド・エンジニアリング・チームであれば、迅速かつ安全にオペレーションを回復させるための指示を出し、オペレーション担当者やその他のスタッフに対するトレーニングを実施するなど、さまざまなサポートを行うことができます。また、新しい設備を稼働させる際にも重要な役割を果たします。例えば、スウェージロックのチームは、新しいファブ建設のサポートに注力しています。ベース・ビルド、装置やツールの取り付けはもちろん、ビルドに必要な新規取り付けにも携わっています。
SRP:第三者のエンジニアリング・チームを審査する際、どのようなスキルセットが重要になりますか?
GM:半導体製造は精密ですから、技術的なバックグラウンドがあるといいですね。電気工学、機械工学、化学工学といった分野は、半導体産業に非常に適しています。スウェージロックのフィールド・エンジニアは、このようなスキルを活かして、世界各地の半導体のお客さまをサポートしています。
また、特定の製品やソリューションがどのように、そしてなぜ半導体アプリケーションに適しているかについて、きちんと理解していることも重要です。半導体アプリケーションでは、きつい化学物質を扱う、非常に条件の厳しいシステムが使用されています。一般産業アプリケーションで使用している市販の部品が、必ずしも半導体アプリケーションに適しているとは限りません。材料科学、腐食のタイプ、耐食性に優れた合金 に関して十分な知識を有していれば、半導体製造に特有の課題に取り組む際に有利なのは間違いありません。
“流体システム・エンジニアリングの専門チームと連携することで、時間を大幅に短縮することが可能です。時は金なりと言いますし、これは大きなポイントでしょう。”
SRP:流体システム・エンジニアリング専門チームと連携することで得られるメリットとは何でしょうか?
GM:まず、時間を大幅に節約できることです。時は金なりと言いますし、これは大きなポイントでしょう。さらに、新しいファブの立ち上げや稼働が重視されていることから、製品やサービスの提供も迅速化しています。考えてみてください。流体システムに問題が生じると、50億ドルから100億ドル規模のファブの取り付けまでが止まるおそれがあります。つまり、オペレーションが完全にストップし、作業が止まる。つまり一銭も稼げなくなるということです。そこで専門のエンジニアの手を借りることで、お客さまは大きなメリットが得られます。つまり適切な製品を取り付けてシステムを稼働させ、さらにシステムを見直し、将来的な拡張や修正について提案してもらうのです。
半導体ファブにおいて、専門チームが提供する特定の洞察力やエンジニアリングの知識から得られるメリットは、計り知れません。詳細について興味がございますか?スウェージロックのフィールド・エンジニアリング・チームは、半導体メーカーが新たにファブを建設したり、既存のファブを最適化したりする際に、流体システムの課題を克服し、最適な生産を実現するべくサポートを行ってきた豊富な経験を有しています。詳細につきましては、最寄りのスウェージロック指定販売会社までお問い合わせください。
グレッグ・ムリナーシは、エンジニアリングの経験を有し、化学工学の学士号、電子工学の修士号、MBAを取得しています。25年にわたって半導体業界で活躍し、2020年にグローバル半導体フィールド・エンジニアリング・マネジャーとしてスウェージロックに入社しました。グレッグは、スウェージロックの半導体フィールド・エンジニアの国際チームをリードし、世界各地のファブ、OEM、材料サプライヤーと協業しています。また、技術サービスやセールス面においてフィールド・エンジニア・チームのメンバーを指導し、社内向けの半導体フィールド・エンジニアリング・トレーニング・プログラムを作成しました。
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